読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

まぼろしの花 生の行く先

芸風書院刊・「中村節子詩集」を読んだ。日本現代女流詩人叢書。

中村節子は昭和ー平成期の神奈川県出身の詩人。本名は橘田節子というらしい。アマゾンで探すとちょいちょい詩集が見つかったが、一般的な筆名なだけに共著の本とかが間違って引っかかって何とも。まぁいいか。

・・・んなとこで目に留まった部分を抜粋。

「太陽の視線を

痛いほど浴びながら

ふてぶてしく

一斉に

芽をふいた

君は

私の養分を盗り

私のかわりに太る

君は

私を追い越した

かわききった路面に

不安定な二輪

荷台の上で

風をうまくこなしている

相棒

行儀よく並んだ一車線通行の

列へ

割り込み

不安定なかわりに爆音

寂しいからスピード

命をつなぐための

作戦

マイウェイ

ゴーイングマイウェイ

列をつくりながら孤独

仲間でありながら他人

他人の事件で

涙は流さない

君を

交通違反で捕えても

君の仲間が

後から

後から

追ってくる

君たちの命

数珠つなぎか」

(p12-15、「雑草」)

「たやさない生命を

つぎつぎと

おくり出す

ふるさとの伝説を

くりかえす

浮かんでは

沈み

消えては

生きた

まぼろしの花

まぼろしの花を

みたものこそ

地上に這い出れる

まぼろしの花を

みたいがために

のぼってくるものもある

時をこえて

ビルディングのあいだに咲くもの

ベランダの鉢におさまるもの

野の中に生きるもの

一分の隙をみつけては

生きる

まぼろしの花は

再た咲く

住みよい位置をみつけて

再た咲く

私の愛する

モンスーン地帯は

花ざかりだ」

(p16-19、「花の位置」)

「沸とうする間際

サスペンスまじりに

コショウを少しふりかけるんだ

すると

口から咽におちる寸前に

気取っていた舌が

もつれて

ピリッと感じたら

成功

その後は

順応した口蓋垂

こわれた格子戸みたいに

きらいな人参や

歯におさまらない和布を

流し込んでくれるのだ」

(p56-57、「スープ」)

以上〜。いい詩が多かった。